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【オンリー・ウニ】第24章

『オンリー・ウニ』 寿司シリーズの第二作 著者:キャミー・タング 日本語訳:西島美幸 → 作品ページにもどる 第24章  何もないアパートの居間にある照明は乱暴に点滅し、薄汚れた壁、シミのついたカーペットと組み合わさって不気味な効果を生んでいた。油脂、動物、嘔吐物のにおいは、ジョージの家ほど吐き気をもよおすものではなかったが、一分以上吸い続けたいにおいではなかった。  ここ数週間、賃貸アパートを何十件も見に行ったが、この物件は最低だ。バスルームのカウンターはシミ、ひび割れ、カビを自慢しているかのようだ。小さい台所は、二、三回小さい火事を乗り越えたように見える。さらにひどいことに、カーペットの黒いシミに混じって干からびた犬の糞が黒い塊になって浮き立ち、合成繊維にくっついていた。  トリッシュは、影のようについてくる、針金のように細いベトナム人の業者の方を向いた。「このアパートがいくらなんでしたっけ?」 「私、違う。持ち主、千(ベトナム人なまりで)欲しい」知識の豊富なシワの寄った目が(そうそう姉ちゃん、本当に汚い家だよな)と言いたげにトリッシュを見た。  トリッシュはカビ臭いカーテンを引っ張って開け、寂しそうなオレンジ色の街灯が照らすでこぼこの道をじっと見た。トレンチコートに包まれたがっしりした体型の人が歩道を歩いてきて、ぶかぶかのジーンズの痩せたアジア系の少年と会っていた――二人は立ち止まって何かを交換し、お互いの周りをくるりと回って、再びそれぞれの道を進んでいった。ダンスホールでダンサーが踊り続けるように。  歩道に停めたRAV4は無事だろうか。「やめときます」 「気が変わったら、電話」 「分かりました」  車に乗り込んでロックし、イグニッションキーを手探りした。今日はここが最後、今週見学を予定したアパートのリストに載っていた最後の物件だった。  窓をコツンと叩かれて、心臓が喉まで飛び上がり、苦しくて叫び声が出ない。さっきの大柄の男が窓の外に立っていた。 「お嬢さん、いいものが――」  ペダルを踏み、キーッと音を立てて走り出した。    朝の健全な光の下で、トリッシュはトイレに走った。用を足した後、ドアを引っ張って閉めずに、戸口――安全な場所――に立って天井に生えるアメーバをにらんだ...