【オンリー・ウニ】第8章
『オンリー・ウニ』
寿司シリーズの第二作著者:キャミー・タング
日本語訳:西島美幸
第8章
トリッシュは飛び出し、急に振り向いた。空洞に響くようなドンという音とともに、こめかみをクローゼットのドアにぶつけた。目の前で星が爆発した。(いた、た、た、たっ!)立ち上がろうとしながら、ズキズキするこめかみをさすった。「マーニー! 大丈夫?」部屋が揺れているように見えるが、何とかよろめきながら居間に出て、マーニーの部屋のドアを叩いた。「マーニー!」
ドアは開かなかったが、マーニーは泣きわめき出した。
ドアの取っ手を回そうとする前に、トリッシュは一瞬ためらった。マーニーの部屋に入ったことはなかったが、彼女の叫び声から警告の銃弾がトリッシュに飛んだ。戦慄の走るような叫び声は、プライバシー侵害の正当な理由になるだろうか? 取っ手を回し、中へ押し入った。
マーニーはベッドの上に座っていた。強烈なピンク、青、緑、赤、紫の色が織り込まれたベッドカバーの真ん中の小さくて暗い突起のように見える。彼女は震える手で、開いたままの携帯電話を握っていた。トリッシュがそこに立つなり、その電話はプラスチックのパキッ! という音と共に壊れた。
「マーニー……」
ルームメイトの手の上の浅い傷口が赤く光り、血を見たことで、マーニーは苦悩に満ちた放心状態から我に返ったようだった。そして、二つに割れた携帯を落とした。悲嘆の声は、早い呼吸へと和らいだ。「彼に……ふられたの」
「あなたの彼?」
「テキストメッセージで」
そんな。トリッシュのお腹は蹴られたように締め付けられた。マーニーの気持ちを想像することもできなかった。だけど、神様のためにマーニーの心を勝ち取るのは、今がチャンスではないだろうか?「あのさ……ちょっと話さない?」
「嫌よ」
「オ、オッケー。じゃあやめよう」
マーニーはベッドから飛び跳ねて、ダッフルバッグに洋服を詰め込み始めた。
「何やってるの?」
「ちょっと考える場所が必要なの」
「出てくの?」こんなことで? リース契約はまだ七か月残っていた。
「違う」
「ああ」(助かった)「何か手伝おうか?」
「大丈夫」
とりあえず、助けようとしなかったわけではないからいいか。
マーニーは四分もかからないうちに荷物をまとめた。トリッシュは、どうすることもできず戸口に立ち、マーニーを見るのと同時に時計の針が動くのを見ていた。
マーニーがドアから飛び出していくのを見ながら、トリッシュは叫んだ。「じゃあね!」それに対して聞こえた返事は、鳴り響くバタンという音だけだった。
トリッシュは居間の真ん中で立っていた。何故か、自分だけがうちにいて、マーニーが外出中だったとき以上に、アパートの中は空っぽに見えた。壁が迫ってくるように思えた――これは、何か気味の悪いことの前兆だろうか? 額のたんこぶをさすった。いや、もしかしたら脳細胞がこぼれ出したのかも。
(ピンポーン)
ああっ! レックス! 教会に遅刻だ!
こっそり礼拝堂に忍び込んだのに、それでもいくつかの頭が動いて、レックスとトリッシュをチラッと見た。トリッシュは、シャツの縁をグッと下に引っ張った。彼女が持っているものの中で、ヘソが出ない数少ないシャツのうちの一枚だった。
後ろの席に沈み込むなり、賛美リーダーは歌い終わった。最後の歌だったらしい。
「あんたのせいで、大遅刻だわ」レックスがムッとしながら言う文句は、トリッシュの耳をくすぐった。
「いつも遅刻するじゃない」
「いつもよりもっと遅いって意味」
前に座っている年配の女性が振り向いて、二人をにらんだ。
「このことは後で話そう」
もう忘れたかのように、レックスは前の方に注意を移した。他の人がどう思っているかなんて、レックスは気にしないのかもしれないが、トリッシュは違った。誰かに嫌な顔をされると、ミミズの群れがお腹の中でぶつぶつ言っているようで嫌だった。
少なくとも、レックスはもうトリッシュを避けていなかった。秘密を打ち明け、一緒に笑い、一緒に時間を過ごし、一緒にベンアンドジェリーズのアイスクリームを食べるレックスがいなければ寂しい。レックスはトリッシュのことを誰よりも理解し、励ましが必要な時と、厳しい現実に直面するのが必要な時をわきまえていた。もう二度と、レックスを傷つけるようなことはしない。絶対に。
トリッシュは長椅子の背にもたれた。ここ、ちょっと暖かすぎる……。
ハッとして目を覚ました。牧師のまなざしがトリッシュの上で止まった。トリッシュを見ながらその眉が上がり、そして続けた。「お祈りしましょう」
トリッシュはずっと目を開いていた。閉じたらまた眠りに落ちてしまいそうで、恐ろしかった。レックスは小さい声で笑い、それから祈りのために目を閉じた。
「アーメン」
賛美リーダーは微笑み、礼拝堂の後ろの方を指差した。「礼拝に来てくださってありがとう。二階のフェローシップホールに茶菓子が用意されていますから、是非お残りください。階段は礼拝堂の向こう側にあります」
「伝道執事って、誰?」トリッシュはプログラムにさっと目を通した。牧師の情報、賛美リーダーの名前、ピアニスト、賛美チーム、案内係、教会秘書……。
執事の名前がない。秘書のエレノア・ファークさんに執事の名前を聞いて、知らない人だったらどの人だか教えてもらおう。
トイレに行きたい。また? 礼拝堂に入る前にも行ったのに。
我慢しなくては。どう言うわけか、ほとんどの人は二階ではなく、礼拝堂後ろの廊下に集まっていたので、廊下はいつの間にか人で一杯になった。伝道執事に会いたいんだったら、廊下が人で一杯になる前に、さっさとそうするべきだった。
「早くしてよ」レックスがトリッシュの腕を引っ張った。「高校生の子たちが全部食べちゃう前に、早く二階へ行こうよ」
座って(そして寝て)いる間に、パンツのゴム紐がお腹に食い込んでいた。「ああ――先に行ってて」
レックスは走って行ってしまった。
トリッシュはすぐ後ろをついて行って、廊下がまだ比較的空いている間に何とか入り込んだ。すると、台所からモニカ・キャスカート夫人が出てきて、スパムむすびを載せた大皿を持って廊下を横切って行った。
「モニカさん!」キャスカート夫人は全員の名前を知っていた。彼女を見つけたトリッシュはラッキーだ。
モニカは微笑んだ。「トリッシュ! 久しぶりね。元気? 一つどう?」
「ありがとうございます」やった! レックスもトリッシュと一緒にいたらよかったのに。まだ温かいスパムむすびをさっと取った。「伝道執事はどなたですか?」
「ああ、王さんよ」
「は?」
「王夫人。背が低くて、白髪の中国人」
会衆の四人に一人はその説明に当てはまっている。「どの人か教えてもらえませんか?」
モニカは、どんどん人で一杯になっていく廊下を見渡した。「いないわ。このお皿をフェローシップホールに持って行ってから、戻ってきて探してみるわね」行ってしまった。
ああ、秘書のエレノアがいる。トリッシュは、立って話している人のグループの間をくぐり抜け、日曜学校が終わって出てきた子供たちをかわし、誰かと話し終えたばかりのエレノアに声をかけた。「エレノアさん、こんにちは」
「今日はようこそ」エレノアがニコニコ微笑むと、顔のシワが深くなった。トリッシュの手をゆるく握った。「今日は初めてですか?」
トリッシュの笑顔が凍りついた。最近そんなに出席率が低かっただろうか?「トリッシュ・坂井です」
「あら、レックスの妹さん? 知らなかったわ」エレノアはまだトリッシュの手を持ちながら、その手を軽く叩いた。
「いとこなんです。この教会に来だしてから……しばらくになります」実は、数年経つ。エレノアは、去年の五〇歳のバースデーパーティーや、その前にあった孫娘の洗礼式の時にトリッシュに会ったのを覚えていないようだから、そんなことを言っても多分無意味だろう。
「わざわざ話しかけに来てくださって、嬉しいわ。ありがとう」
「伝道執事がどなたなのか、教えてもらえませんか?」
「奉仕をしてくださるの?」
「ええ、二番目のルール――つまり私……確信……そう、キリストのことをもっと他の人に話す努力をするべきだって、確信してるんです」
「まあ、それは素晴らしいわ。伝道執事は王さんよ。どこかしら……」エレノアは群衆をさっと見たが、背が低いので、よく見えないようだ。
「トリッシュ、いた、いた」モニカがすぐ近くに現れた。「王さんを見つけたわ」
「ああ、そこ、そこ」エレノアは廊下の左側の方を指さした。
「あの青いワンピースの人よ」モニカもその方向を指さした。
群衆の海に小さい隙間ができ、そこに、背の低い年配の中国人の女性が立っていた。トリッシュは背が高い方ではないのだが、その肩にも届かないほど小柄な人だった。
「見える?」モニカは、王夫人の方向に指を突き立てた。
「はい、ありがとうございます」トリッシュは、獲物を見失う前に、お喋りをしている人たちのグループの間を踊るように通り抜けた。
王夫人は、隣にいる若い女性と親しそうにお喋りしていたが、かがんでその女性の小さい娘を抱き上げた。
「こんにちは、王さん」
トリッシュを見て、王夫人の親切そうな顔は笑顔で輝いた。「こんにちは」
「初めてお会いします。トリッシュ・坂井といいます」
「お会いできて嬉しいわ!」かなり熱心な歓迎だが、熱心なふりをしているわけではなく――心から歓迎してくれているようだ。
「伝道のお手伝いがしたいんです――」
「そうなの⁈」王夫人が目を大きく開けると、黒いマスカラをくっつけた短いまつ毛がパッと開いた。
王夫人と話していた若い母親は、微妙な動きで後ろに下がって行ったが、なぜかトリッシュはそれが気になった。お腹の中でささいな心配が始まったが、トリッシュはしっかり地面を踏み締めた。不安に感じるなんて、馬鹿げている。王夫人はどう考えてもいい人に見えた。
「王さん、カイリーを連れてうちに帰りますね」若い母親は、この年配の女性の腕をほどいて娘を取り戻した。王夫人は小柄なので、難しいことではない。「それじゃあまたね。さようなら!」トリッシュがまばたきをすると、その女性はもういなかった。スーパーマン? スーパーウーマンか? トリッシュは、急いで出て行った女性のことを気にしないようにした。
王夫人はトリッシュの手をつかんだ。「伝道委員会で奉仕をしたいなんて、素晴らしいわ!」
何っ? 委員会? 「と言いますか、私がしたいのは――」
「今年のイースターフェスティバルの企画を手伝ってくれると、とても助かるの。この教会で一番大きいアウトリーチ活動でね――去年は五百人以上が集まったのよ」
「イースターフェスティバル?」
「リーダーになってくれる人を探してるの。ボランティアをリクルートして、スケジュールを立てて、宣伝をして――それほど大変な仕事じゃないわ」
「五百人も集まるんですか?」
王夫人は両手をたたき、そのパールピンク色の微笑みが大きくなった。歯にも口紅のパールピンクがにじんでいる。それに、恐ろしいほど歯がたくさんある。「敬老会を企画してくれる人も必要だわ。私たち、年は取ってるけど元気なのよ!」王夫人は、興奮して空中に拳を上げて強調した。フレー、フレー。「手芸の日とか、日本食の昼食会みたいな素晴らしいアウトリーチイベントもあるの。台所の当番表や、チラシの準備も必要だし、敬老会の人たちに頼む仕事もあるわ」
「日本食の昼食会ですか?」
王夫人の目がギラギラ燃え出した。「ああそれに、日曜学校も人が足りないの。先生の数が少ないから、毎週誰かが交代で手伝ってるわ。先週なんて、幼稚園児のクラスは五〇人近く子供がいて、先生はたった一人だったのよ!」
「五〇人ですか?」
「誰か手伝ってくれる人を探してたんだけど、あなたがいるわ!」
「誰か手伝ってくれる人?」
「ええ、こんなにたくさんのことをね!」王夫人の顔は熱狂的な悪魔の能面のようになった。「まずしなきゃいけないのは、イースターフェスティバルの準備ね。大きい登録用紙を作って、ロビーに貼るの。それから礼拝の時にアナウンスメントね。綿菓子機とポップコーンマシーンの予約と、その備品の注文、それから去年使ったゲームが何かを聞き回らないといけないわ。誰からゲームを借りたのか、私は覚えてないの。そうそう、あの大きなジャンプハウスの予約もね。子供たちが遊べるように。景品も注文しなきゃ。あ、だけどその前に、景品を献品してくれる人を探したほうがいいわ――周りの人に聞き回るの……」
この女性は、完全に気が狂っている。
トリッシュは手伝いたいのだが、この狂ったおばさんのために委員会を運営するのは嫌だった。トリッシュがこれを受け入れたら、組織の悪夢へと直進することになり、ブラックホールのように大きい時間を費やすことになるだろう。それに、教会でトリッシュのことを知っている人はほとんどいない。それなのに、どうやってボランティアをリクルートするというのだろうか?
(この狂ったおばさんから逃げよう……)
しかし、王夫人はトリッシュの手をまたつかんだ。獲物が逃げ出そうとしているのを感じたのだろうか。「あなたのように若い人に教会でリーダーシップを取ってもらいたいの。他に、手伝ってくれそうな人はいないかしら?」
「王さん、私やっぱり――」
「ヘイ、ベイブ」
「ああ、ハーイ、和夫。王さん、私、友達が――和夫!」トリッシュは、隣に立っている長身で日に焼けた和夫を二度見した。「ここで何してるの?」
「一緒にランチに行こうと思って来たんだ」和夫はトリッシュに近づき、背中に手を当てた。
「トリッシュ!」おにぎり、ドーナッツ、いなり寿司、三角形のエッグサラダサンドイッチでお皿を一杯にして、レックスが一メートル以内の距離に立って凍りついていた。レックスは和夫の方を向いた。「あなた、ここで何してるの?」
「トリッシュを迎えに来ただけ」
レックスが目を大きく開いたのと同時に、トリッシュが割って入った。「私が呼んだんじゃないの、本当よ! 勝手に来たの」
「手伝ってくれるお友達がいるじゃない!」王夫人はトリッシュをしっかり捕まえながら、和夫の腕をつかもうとした。
レックスは両手がお皿でふさがっているのも忘れて、腰に手を動かそうとしたが、お皿を持っていたことを思い出し、代わりに肘を胸郭に押し込んだ。「どうしてここに?」
「トリッシュをランチに連れてくんだよ」和夫は無表情な目でレックスを見た。
トリッシュは、和夫の大きい口を塞ぎたかった。そのセクシーなアクセントにもかかわらず、だ。「行かないわ。頼んでないし」
「素敵だわ!」王夫人は和夫の方を向いて大きく微笑んだが、あいにくその顔はポルターガイスト(アメリカのホラー映画)に出てくるピエロのように見えた。和夫は一歩下がった。
王夫人はレックスの方を向いた。「あなた、しばらく教会に来てるわね? そろそろ奉仕することを考えたらどうかしら――」
レックスの目は、お皿の上のおにぎりのように大きくなった。「え、えっと……」その目は辺りを見回し、向こう側にいるキャスカート夫人の上で止まった。「王さん、モニカさんが呼んでますよ」廊下の向こう側の方に腕を素早く動かしたので、お皿からチキンウィングが落ちた。「今すぐに、って」
鉛筆のように細い王夫人の眉間にシワがよった。「本当?」
「何か……」レックスはもじもじした。
「敬老会のことじゃないですか?」トリッシュが助け舟を出した。
「そうそう! 敬老会です」レックスは弱々しく微笑んだ。「何か……その……」
「料理のことかしら?」モニカは、軍隊のために――少なくとも四人のティーンエージャーの子供のために――三〇秒ちょうどで料理を手早く作ることができた。トリッシュは、王夫人の手を振りほどこうともがきながら、手をグイッと引っ張った。
「そう! 料理のことです」
「ああ!」王夫人はトリッシュから手を離し、その小さい手を合わせた。「すばらしいわ! 日本食の昼食会は来週なのよ!」走って行ってしまった。
トリッシュはヒリヒリする手首をさすりながら、ため息をついた。あの小さい中国人のおばちゃんの手は、なんと硬くて骨張っていたことか。
レックスは和夫の方を向いた。「これはストーカー行為よ」
「君のおばあさんがここに来いって言ったんだよ」
「何それ?」トリッシュとレックスはつっけんどんに言った。
「こんな知らない人たちの中にいたくないだろ」和夫は王夫人が行ってしまった方向に頭を振った。「僕は君のことを女神のように扱うよ」手を伸ばし、励ましに満ちた柔らかい手でトリッシュの腕をさすった。
愛撫するように触られて、体が心地よく震えた。トリッシュは深く息を吸い込み、白檀とジャコウのにおいがする日本の石鹸で自分の感覚を満たした。確かに和夫は、トリッシュのことを宇宙の中心のように扱ってくれた……。
「トリッシュ!」
レックスの金切り声は、宙に浮くようなトリッシュの体を揺るがした。ああ、そうだ。レックスを傷つけることはもう二度としないんだった。神様に捧げるんだった。新しい人になるんだった。和夫はノーだ。
ため息をついた。
「それに、君のおばあさんは認めてくれてるんだよ」和夫の目はとても理性があり、論理的に見えた。もちろんトリッシュは祖母を怒らせることなどできないはずではないか?
レックスは怒って言った。「あなたは日本人で、トリッシュは親族の中で一番年上の独身のいとこなの。認めるに決まってるじゃない」
「僕たち、いいカップルになれるよ」和夫は秘密めいた笑顔を見せた。彼をさらにミステリアスに、別世界の人のように見せる笑顔。トリッシュの絵を描いていた時によく見せる笑顔だった。
ロマンチックな思い出ではなく、不快な記憶を思い出した。「あなた、私が他の人と一緒にいるのを許してくれなかった。私は絵のモデルってだけで、ただの所有物だったの」トリッシュは籠の中の鳥、ロープで縛られた猫のような気がしたものだった。
「君は僕にとって大事な人だよ」触らずに、その手をトリッシュの顔の曲線に沿わせた。
大事? ちょっと体の中がくすぐったくなった……。
和夫をにらみながら、レックスは歯を食いしばっていた。「ちょっと、冗談言わないで」
トリッシュは、そのくすぐったい感情に耐えた。頭はどこに行ってしまっていたのか? 和夫が一メートル以内の至近距離に入った途端、トリッシュの良心は全て窓の外に飛んでいってしまったようだ。「私たちはもう別れたの。私は別人になろうとしてる。三つのルールを守りながらね」まあ、少しは。「私ね、神学修士の単位を取るの。心の底から神様に自分を捧げるためにね」
和夫は肩をすくめた。「僕だって、できるよ」
「ええっ?」トリッシュとレックスは、また二人そろって困惑した目つきでチラッと見た。
「もっと神様のことを理解するように努力する」和夫はトリッシュの目をじっと見た。「君のためだったらできる。教会に来るよ」
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