【ひとり寿司】第31章

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第31章


レックスは、請求書の海の中で溺れ死にそうだった。

正確には、医療費。医療休暇中、少しは給料をもらっていたが、MRIの請求額を見たら、泣きたくなった。あと一週間で仕事に復帰する——給料が出たら、多分払えるだろう。

携帯が鳴った。「ハロー?」

「チェスターだ」

「ああ、どうしたの?」

「お前、医療休暇中なんだろ。だから言っとこうと思って——今日SPZが給与カットを発表したんだ」

「ええっ?」

「レイオフ(一時的解雇)する代わりに、全員の給料を一〇パーセント減らして、四半期の業績不振を埋め合わせるらしい」

クビにならなかったのだから、喜ぶべきだろう。だけど、一〇パーセント? 「チェスター、手術の請求書があるんだけど」

「俺に文句を言うなよ。こっちだって家のローンがある」

レックスはため息をついた。「教えてくれて、ありがとね」

「もちろん」電話を切った。

すぐにまた電話が鳴った。「ハロー?」

「やあ、レックス。アイクだ。今晩、暇? アイスクリーム持ってくから一緒に食べない?」

(おおっ)積極的とはこういうことか。なれなれしく触わる性癖はさておき、チャーミングで、見栄えがし、会話も上手だ。「もちろんよ」道順を教えた。

アイクは、パイントサイズのベン&ジェリーズを四種類持って、やってきた。

「どんなのが好みか分からなかったから、色々持ってきたよ」

「嬉しいわ。私の兄と父だったら、私に聞かないで自分たちが好きなものを買ってくるから」彼を中に入れて、ドアを閉めた。

アイクは、簡易キッチンまで小股で歩いた。彼女の目の奥をじっと見た。「そうだよ、僕は君のお兄さんじゃないからね」

ダークブルーの目。いかつい顔。実物のマイケル・ヴァルタン。(嫌いなところは、見当たらない)

彼女はチャンキーモンキーをつかみ、彼はクッキードウを取った。残りは小さい冷凍庫に押し込んだ。

彼らはカウンターにもたれ、話しながら食べた。

アイクは、時々寄せ集めのバスケットボールゲームに出たり、友達とのフットボール、教会でのソフトボールなど、週末戦士的なスポーツが好きなようだった。ジムに行くことでシェイプアップしていると言う。「日曜日に何も話せなかった気がしたから、もっと君のことを知りたいと思ってさ」

リンジーの猫のように狡猾な顔が心に浮かんだが、レックスが心の中で怒鳴ると、蒸発してしまった。

アイクはクラッシック音楽やジャズが好きだったが、友達と一緒にいる時は、相手も好きじゃないと聴かないらしい。好きなレストランはなし——周りの人が好きなものなら、何でも好き。車に乗って遠くへ行くのも好きだと言う。「それから、友達と一緒にいるのも好きだよ」

レックスはスプーンをなめた。「ありがとう、アイク。このアイス、最高ね」請求書の心配をするより、ずっと楽しい。彼のことをよく知るために過ごす時間は、何て素晴らしいんだろう。本当に気楽で、地に足がついた人だ。

アイクが彼女の後ろに手を回して、スプーンをシンクに投げようとすると、真正面に顔が来た。

彼は、信じられないほど男性だった。青い目がとても近くにあるように思えた。スパイシーなコロンをつけていた——強すぎないが、とてもセクシーな。彼の眼差しが彼女の唇に降りてきた。

ロマンス小説をたくさん読んだので、分かっていた。そろそろ脈が早くなり、呼吸が少し切れてくるだろう。少し緊張を感じた——こういうものだっただろうか?

彼は彼女にキスしようとし、彼女はそれを受け入れる心構えができていた。ファーストキス。いや、ベンをだますためにエイデンが軽くしたのを入れたら、二回目だ——

(エイデンのことを考えちゃダメ。アイクにキスされようとしてるのよ)

彼は、ゆっくり時間をかけた。とても長い間、彼女の唇を見つめていたので、自分の方から動いて唇を植えつけようかとも思った。しかし、人生のほとんどの時間を積極的に生きてきたはずなのに、何故だろうか。恥ずかしくて、怖い気持ちになった。

(違う、怖がってるんじゃない。待ち望んでるのよ。違うわ)

「口にアイスクリームがついてるよ」アイクの低くハスキーな声を聞いて、寒気がした——いや、興奮だ。興奮が背筋を伝わってくるのを感じた。彼の指が近づいてきて、彼女の口のはしにさわった。

あごがビクッとして、彼の指関節にぶつかった。

「ごめんなさい」

彼は胸の中で含み笑いをした。彼女の緊張が、逆に彼を勇気づけてしまったようだ。

頭が下がってきた。

彼の唇が触れた瞬間、心臓が激しく痛んだ。アリが皮膚全体に這い、鎖骨と首に噛みついた。肩を丸め、息を切らし、体をねじって離れた。

一瞬触れただけなのに、彼女はパニックした。彼は一体、彼女のことをどう思っただろう。彼の目の中に優しさが見えて、泣きたくなった。

「ごめん。早とちりしたみたいだね」

「違うの、私の方こそごめんなさい」彼に理解してもらおうとする方が無理だった。「あなたは——」ハッとした。男は「いい人」と呼ばれるのを嫌がるって、リチャードが言ってなかったっけ? 「あなたのことをもっと知りたいわ」

「僕もだよ」彼女の頬に軽くキスした。ビクッとしてしまうのに彼が気づかないよう、彼女は同時に頭を動かした。これを止めることができなければ、男はみんな逃げていってしまうだろう。

「じゃあ、またジムでね」

「うん」

「ああ、大丈夫だよ。自分で行けるから」彼は出ていった。

閉まったドアを見つめた。なんてバカなんだろう! 自分は一体、どこが悪いのか? 完璧だったはずなのに! 完璧! どうして彼とキスできなかったのだろうか?

(エイデンとキスしたいんだわ——)

(ダメ、ダメ、ダメ!)スプーンをシンクに投げた。

彼女はエイデンとキスしたいのだった……

**********


「ハーイ、お父さん——わっ! おしゃれ!」レックスは、ハワード叔父さんのアパートの入り口に立っている父を見た。「夕食に出かけるの?」

父は赤くなった。「違う、違うよ。洗濯をしてるんだ」

「そうか、じゃあ、入っていい?」

「ああ……もちろんだ」買い物袋を持つ彼女が中に入れるよう、父は、一歩横にずれた。

そして、重心を一方の足から他方の足に移した。「ハワード叔父さんはボウリングに行ってる」

「うん、聞いた」買い物袋を床に下ろし、膝をさすった。ああ、痛かった。

「元気か?」

「装具はやっと外れたけど、階段はまだきついの。こうやって何か運んでる時は、特にね」袋を一つ開けた。「私の箱の中にお母さんのものがあったから、お父さんに——」

ドアベルが鳴った。レックスはドアの方に向かった。

「ああ、ちょっと待って、レクシー——」

「メアリーさん?」かわいいピンクのドレスを着たメアリーが、玄関前で立っていた。ジム用の服を着ていない彼女を見るのは、何か変だった。「ここで何を?」父の家で。父が家にいて、ハワード叔父さんはいないのに……。

そして、レックスはやっと分かり始めた。

メアリーも同時に理解したようだ。彼女の眼差しは、レックスの後ろの居間へと移った。「言ってないの?」彼女の怒った声は、銃弾のようにレックスの肩を超えて飛んでいった。

「メアリー……」父の声は、レックスが長年聞いていた声より柔らかく聞こえた。しかし、長年聞いていた声より怯えた声でもあった。

「バカ! 信じられない。言ってないなんて」メアリーはどんどん中に入ってきて、父と向かい合った。

夕日が居間に光を放ち、メアリーの強気でとても苛立った輪郭の横で、少ししなびて見える父を照らしていた。

笑顔がレックスの口を横に引っ張った。

父は咳払いをした。「メアリー——」

「マーティン、あなた、気遣いってものがないの? 自分の娘なのよ。もっと分別があってもいいはずよ」

思いもよらず、目の後ろが締めつけられるようだ。変だな。全然違う声なのに、母が話しているように聞こえる。

「だから、メ——」

「女の子はいつも最後まで知らされないのよ! 後で思い出したみたいにね」

ちょっと待って。「お父さん!」レックスは父に指を突き出した。「リチャードには言って、私には言ってないの?」

「あの——」

「お父さん、信じられない!」

メアリーは彼の顔の前で指を振った。「何年もあなたの世話をしてきたのは娘なのに、息子にはわざわざ言って、娘に言わなかったの? 恥じるべきね」

「言おうと思ってたんだ——」

「先週も来たのに、誰かと付き合ってるなんて、一言も言わなかったじゃない!」レックスの声は、小さい部屋の中で響き渡った。

「レクシー、言おうと思ってたんだ。メアリー、この子がレックス——」

「もう会ったわ!」二人は同時にピシャリと言った。

突然、レックスは笑って泣きたくなった。

メアリーは振り向いて、レックスの方に来た。「ごめんなさいね、ジムで会った時、もう知ってると思ったの」

レックスは、初めて会ったときの会話を思い出してみた。

「いいえ、あなたが毎週、熱心にジムに来てることをエイデンから聞いてたんです」

「エイデン? ああ、あの子はとてもいい子ね。彼みたいじゃない人もいるから」声が硬くなった。

「お父さんと話した方がいいんじゃない——?」

「いいえ、大丈夫です。ディナーに出かけてください」レックスはドアを開けた。「一人になりたいので」

「レックス……」父は心配そうな目で彼女をじっと見た。心配。悲しみ。後悔。

「大丈夫です、本当に。ちょっと時間をください。また後でお話ししましょう」ドアを閉めた。

**********


「ダメだ、早すぎる」エイデンは別のエクササイズボールをつかんで彼女の横に寝転がり、ボールの上に足を置いた。「僕の真似して」

ブリッジのエクササイズ——肩を床につけたまま、床から体を持ち上げた。彼女は彼の真似をした。できる限りゆっくり降りてくる。ハムストリング筋が燃えている。

「いいよ」十五回の一セット目、彼がペースを決めた。それが終わると、彼女は息苦しいのに、彼は汗もかいていない。

すぐに彼はまた位置についた。「行くよ?」

彼女は位置について、うなずいた。

「一」

「あれっ」レックスは、エイデンが一方の足をボールの上に上げ、片足でエクササイズをしているのに気がついた。それに、ボールをもっと遠くへ動かしている。

「君のペースを決めなきゃいけないから、ついでにちょっと運動しとこうと思ってさ」

からかわれているのを無視した。「私もやってみる」いい方の足を伸ばして続けようとした。お尻を地面から上げることすらできない。

「ダメだ! 悪い方の足が弱いわ」足を入れ替えた。

(何てことだ!)七センチも上げると、背中がまたマットにくっついてしまう。痛むハムストリング筋をさすった。

エイデンは、また片足で繰り返した。「これはもっと上級レベルだからね」

上級? スーパーマン・レベルだ。

「ほら、両足をボールの上。僕についてきて」

彼女は彼についていった——何とか。彼より早く下がりがちだった。彼は横目で彼女を見た。「もっとゆっくり。サボるな」

ギターの弦がピンと切れるように、今にもハムストリング筋が、太ももからはじかれて飛んでいきそうだ。

レックスはエイデンを見ていているだけで楽しかった——軽々として力強い。あの一緒に走った時のように。お腹の中で、チクチクするような楽しい気持ちが渦を巻いていた。アスリートと聞くと、彼女は騙されやすい。エイデンは、バレーボール以外のスポーツについては、とても秀でているということを忘れていた——日系リーグでの、あの夜、コートの中でぎこちなく、ワイルドなプレーをする彼を思い出して、じっと見た。

(かわいい)

(だけど、信仰がない)

何とかセットを終わらせた。横になって息を切らしながら、彼が余分に繰り返すのを見ていた。

(見るのはいいけど、さわっちゃダメよ。それに、私の気持ちを知られちゃダメ)

**********


全て、彼女の背中のせいだった。

レックスは痛みを感じるたびに、いつも以上に怒鳴った。女子らが出ていった後、バッグを持ってジムから出ようと歩いているレックスを、ヴィンスが脇に引っ張った。「今日もまた厳しかったね」

分かっていたが、認めたくなかった。彼の手を振り払った。一体いつになったら、このヒントを理解して、さわるのをやめてくれるのだろうか?「プレイオフまで、あと数週間だからよ」

「いや、違うね。プレイオフじゃない。何か君に問題があるみたいだ」

「一体何なのよ、精神科医なの?」

「僕はアシスタントコーチだ。そして、君はちゃんとコーチしてない」

「どういう意味よ」

「あの子達に無理させる本当の動機は? 本当に本人達のため? それとも君のため?」

「何のことだか」

「お母さんが、この子たちのお母さんのコーチだったんだろ。だから君は、このクラブチームを作ったんだ」

「あなたはね、知ってることしか考えられないのよ」ヴィンスにそう言われると、何か悲観的なことをしているように思える——母に敬意を表してとか。

「この子たちに勝たせても、君のお母さんは帰ってこないんだよ」

「は? そんな馬鹿げたこと」

「君がしようとしてるのは、そういうことじゃないのか」

レックスは目をぐるっと回した。「全然違うわね、ヴィンス。背中が痛いから機嫌が悪いだけよ。生理前だってことも、言った方がいい?」

「拒絶を正当化するための言い訳だね」

不満を感じながら、レックスは車の方にツカツカと歩いた。「おやすみ、ヴィンス」

一キロほど走った頃、観客席の下にバッグを忘れたことに気がついた。エンジンからパチパチ音が出ているのも無視して、Uターンした。

ヴィンスの非難を聞いて怖くなった。母を生き返らせる? 考えただけでもゾッとした。

ただ……そのように考えていたところもあったのだろうか? 母が自分のバレーボールチームを諦めざるを得なかったから、何年も前にレックスを捨てたから、この子たちのためにここにいたいと思うのだろうか?

母はガンだった。彼女のせいじゃない。

しかしレックスは、それでも見捨てられたように感じていた。この子たちを駆り立て、犠牲を払うのは、彼女らを見捨てたくないからなのだろうか?

もうやめよう。くだらない。精神分析の落とし穴には陥らないぞ。レックスは分かりにくい性格だから、このようにきれいに区切って考えることはできない。

駐車場に入った。別の車が、ヴィンスの車の隣に停まっていた。ジェニファーのトラックに見えた。だが、そんなはずはない。ジェニファーは、ヴィンスのことを知らない。レックスは車から出て、ジムに向かった。

ヴィンスは誰かと一緒にいた。開いたジムのドアに近づくと、彼らの声が聞こえた。

「ミセス坂井が、オリンピック少年学校のコーチの仕事を紹介してくれたの」

ミセス坂井——おばあちゃんのこと? コーチの仕事って? それにあの声。すごくジェニファーに似ている。レックスはゆっくり歩いた。

「よかった。ありがとう、って言っといてもらえる?」

「仕事が始まるのは二週間後よ。彼女との約束を守って、それまでにこの仕事を辞めてね」

えっ? ヴィンスに辞められたら、こまる。プレイオフのために彼が必要だ。胃の奥で火山が噴火した。ゴロゴロと縦に揺れ、酸が上がってくる。誰かに、そこにいる二人に、溶岩を吐き出したかった。

「ただのボランティアだから。でも、もちろん辞めるよ」

(反逆者、裏切り者)

「今週、オリンピック少年学校から連絡があるはずだから」ジェニファーの声が、戸口の近くに近づいてきた。

燃える炎となったレックスは、ジムに入った。

いとこが目の前に立っている。ジェニファーはハッと息を呑んで、後ろに飛びのいた。ヴィンスは青くなり、背筋を伸ばした。

レックスは、自分がどんな表情をしていたのか分からなかったが、メドゥーサのように破壊的な顔をしていたに違いない。敵意むき出しで、ヴィンスをにらんだ。「今日の会話は私の問題じゃなかったみたいね。あなたがチームの女子を捨てることを正当化するためじゃない、このゲス野郎」

「どうせ、プレイオフの資金はないんだろ」ヴィンスはバッグをつかみ、ドアの外へ出ようとした。

レックスは、のこぎりの歯のような目でジェニファーを攻撃した。

「いつからおばあちゃんのメッセンジャーガールになったのよ」

ジェニファーの唇は震え、その顔はゆがんでいた。

「ダメよ、泣いたらどうにかなると思わないで、ジェン」

「あなたは私の気持ちが分かってない!」

レックスはびっくりした。確かに、ジェニファーが叫ぶのは、祖母が静かにしているようなものだった。

ジェニファーは、真剣に泣きじゃくり始めた。「おばあちゃんはいつもうちにきて、あなたのことを聞くの。あなたに電話をしなくなったのは、おばあちゃんに何も言わないで済むからなのよ」

「これは、おばあちゃんの文句とは違う。あなたは私を裏切ったのよ」

「まだ分かってない」ジェンは鼻声で怒鳴った。「あなたは強い。私は違う。おばあちゃんだけじゃない——お母さんとお父さん、それに姉たちも。おばあちゃんは、あなたのことで私の家族にも文句を言うから、それが私に返ってくるの」

「じゃあ、これは家族のアイディアなの?」

「違う、おばあちゃんの」

「ちゃんと説明して」

「家族に脅されたの」

「断れたでしょ」このように彼女を責めながら、高圧的な家族に対し、ジェニファーが「ノー」と言えないことを、レックスは分かっていた。

「断れないわ」ジェニファーは、泣きながら吐きそうになった。「私の人生の中で、自分で何とかできるものは、もう何もないのよ」

「ジェン、私は身動きが取れなくなって、あなたは私を裏切った。私に隠れてアシスタントコーチに近づく前に、何で私に言わないの? おばあちゃんのためにヴィンスを買収するなんて」

ジェニファーは頭を振って、泣き続けた。

彼女の涙は、レックスの怒りを燃え上がらせるだけだった。

「どんなことを家族にされたの? 苦しむのは誰だか分かってる? ここにいる中学生の女子達よ」レックスは背を向けた。

「こんな目に遭うなんて、この子たちが何かしたっていうの? 私は最善のことをしてるのよ」

「おばあちゃん、あなたが別のスポンサーを探してることを聞いたみたいよ」

「この子たちを救うためにね」

「あなたに彼氏を作って欲しいって」

「もっと曽孫が欲しいだけ。永遠に死なないためよ。ボーイフレンドは、終末を解決する手段なの」レックスは指でこめかみを押さえた。

「ジェン、本当に努力してるの。あなたがやったことは、私を苦しめるだけ。チームの子たちにとっても、もっと難しい状況になったわ」

ジェニファーは鼻をすすった。

「帰って」レックスは観客席に行ってバッグをつかんだ。振り向いた時には、ジェニファーはいなくなっていた。


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