【独身淑女のクリスマス】 第5章
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ミランダにとって、屋敷の飾り付けのためにクリスマス用の緑樹を集めるのはいい気晴らしだった。みんなウキウキした気分だったし、自分のことを気に留める人は誰もいない。落ち着くことができた。
ジェラルドの母への頼みごとのために、彼が労力を費やすはずはないと思っていたので、この道は閉ざされるだろうと予想していた。だが、ローラおばさんに助けを求めるという彼の行為に驚かされたばかりか、胸の中に希望の花が咲いた。
希望を持つべきではない。いつも失望に終わったではないか。
でも、自分をサポートしてくれる人が二人もいるのに、希望を持たないでいられようか?両親には他人に頼らないことを教えられたので、このような心遣いを受けることに慣れていなかった。
オーガスタおばさんに頼むのは特に難しく、セシールの好意に対する感謝の気持ちがないことを咎められられただけに終わってしまった。そのように批判された後、ミランダは同じ頼みごとをローラに持ちかけるどころではなかった。しかし、ローラがこれほどまでに心配してくれて、ジェラルドも粘り強く助けになろうとしてくれることに驚かされた。
うまくジェラルドの母を説得してくれるのだろうか?それでも希望を抱くのが怖かった。
深呼吸をして、森の静けさの中で落ち着こうとした。木々からは、長い年月と忍耐、そして嵐や熱心な木こりにも負けない粘り強さが感じられた。今でも木々が互いにささやき合って、緑樹を集める女と子供たちの興奮気味なしゃべり声を聞きながらカサカサと噂話をしているのを想像した。
わずか一、二時間前と比べ、人生がこれほどまでに変わるとは。エリーと、そしてフォーモント一家と過ごした後、ローラおばさんのところへ行く——全てが素晴らしすぎて、夢のように溶けてなくなってしまうのではないだろうか。ベイティ家からも逃れられる。フェリシティのイライラにも、謙虚で感謝の心を持った扶養家族としての身の程をミランダに思い知らせようとする決意にも耐える必要がなくなる。
十二夜が終わったら、状況は本当に変わるのだろうか?長い間、幽霊のようにゆっくりともやの中に消えていくように感じていたので、想像するのが難しかった。自分は幸せになれるのだろうか。最後に幸せだと思ったのはいつだったのかさえ、思い出せなかった。
「(ミ)ランダ」思考の中にエリーが割り込んできた。自分で切ったモミの枝を持って、ミランダを追ってきたのだった。
「はい、なあに?」
「ポールが一番大きい枝を取るって言うの」
「まあ、そう?一緒にやっつけようか」
エリーはにっこりした。その口の形、目のシワは、ミランダのいとこのエドムンドにそっくりだった。しかし青い目と、トウモロコシの毛のようにキメが細かいきつね色の髪は母のものだった。
ミランダがベルモアの親類とクリスマスを過ごすときの恒例だった——女と子供たちは、ヤドリギ、ツタ、モミの枝を拾い、男と農場労働者は大きなユールログを集めに行く。これを十二夜が終わるまで、大玄関にある大きな古い暖炉で燃やすのだ。
ジェラルドはミランダのところまで来たが、エリーに話しかけた。たくさん抱えたモミの枝が腕から垂れ下がっていた。「エリー、気をつけないと緑のドレスにつまづくよ」
エリーは垂れ下がるモミの枝を見、クスクス笑ってぐるぐる回った。枝は飛んでいき、やぶの方まで飛んでいく枝もあった。
「せっかく集めたのに全部なくしちゃうわよ」ミランダは笑って言った。
「僕が拾ってきてあげるよ。おいで、エリー」ジェラルドは道を外れ、不ぞろいの茂みを目掛けて杖を大げさに振り回し、なくしたモミを探しているうちに道に迷ったふりをした。
最後にミランダがジェラルドと一緒に緑樹を集めたのは十六年前、彼が航海に出る前のクリスマスだった。膝がよくなって他の男たちについていくことができれば、そして痛みを感じずに馬に乗ることができれば、ジェラルドは彼らと共にユールログを運んでいただろう。エリーや他の子供達とふざけていたが、折に触れて森にいる男性の声が遠くで聞こえると、彼は目を上げ、とげとげしさが仮面のように顔を覆うのであった。
それとも、その明るさの方が仮面なのか。
フォーモント邸に行くことになったら、長い年月の後で初めてジェラルドの近くにいることになる。ミランダはこれを少し、いや、とても恐れた。そう、ジェラルドに対する感情を、本人だけではなく、もっと悪いのは彼の両親から隠すことができなくなるという恐れだった。
隠すことには慣れていた。両親から、そしてほとんどの家族から、一生ずっと本当の自分を隠し通さなくてはならないように思えていた。自分は社会の他の人たちと同じようになることが絶対にできないと、絶えず周りから気づかされるように感じていた。
ミランダの父は、彼女が可愛くなかったから、そして、おとなしすぎて何の面白みもない娘だったから失望していた。母は、婚期に相手をつかまえる望みがなかったから怒っていた。フェリシティは、無給の召使いとして手元に置くより、熱心に彼女を追い出そうとするまで嫌っていた。
そればかりか、誰も知らない秘密が一つあった。決して消すことができない罪が。。。
誰にも心を開きたいとは思わなかった。ハンサムで自信にあふれたジェラルドにはなおさらそうだ。これまで多くの人がそうだったように、ジェラルドはミランダの欠けているところに気づくだろう。そして、一度愛してしまったら、彼を失望させること、拒否されることは、生きたまま皮膚を剥がれるほどつらいことだ。
だから、彼に対する感情を何とか押しつぶさなくてはならなかった。心の中から完全に消し去らなくては。
全ての木から葉が落ちてしまったわけではないが、冬の変わりやすい日差しのせいで薄暗く、更に寒く感じた。ジェラルドとエリーはミランダから離れていき、ミランダは彼と距離を置くことに決めた。エリーは、見知らぬ人であるジェラルドに慣れる必要があった。
ミランダは重い足取りでやぶの中を歩いた。他の女や子供たちと距離を置いて、静かで暗い森の奥深くへ。木の幹や低く垂れ下がる枝のせいか、彼らの声すらも弱くなっていった。
後ろの方で葉がカサカサと鳴り、棒がパキッと鳴る音がした。そして何か重いものが、ミランダの首の付け根にぶつかった。
頭全体に激しい痛みを感じた。地面に倒れたのは覚えていないが、頬の下の枯葉、そしてカビと泥の強烈なにおいに気づいた。手足が地面に鎖で縛られているように感じた。
何かがかすかな光を遮り、黒ずんだマントの端が濡れた葉の中で引きずられているのが見えた。何かを探しているように、手がミランダの体の上を走った。寝返りを打とうとしたが、襲撃者はミランダの背中に強く寄りかかっていた。
そして、ブーツの重い足取りと杖の軽い感触を地面から感じた。大変だ。ジェラルドに警告しなくては。エリーは彼と一緒にいる。
足音が止まった。「ミランダ!」ジェラルドが叫んだ。
ミランダに触る手が凍りついた。
ジェラルドがミランダの方へ急ぐと同時に、襲撃者が離れていった。ミランダは寝返りを打った。
一瞬ぼんやりとし、スカートがなびき、そして重い枝がジェラルドの頭に向かって空中で振り抜かれた。ジェラルドは身をかがめたが、その動きのために、杖の方によろめいた。
「ジェラルド!」ミランダはハッと息を呑んだ。襲撃者は背を向けていたので、黒っぽいマントしか見えなかった。
そして、ジェラルドからほんの数フィート離れたところにエリーが立っているのが見えた。少女は凍りつき、愕然とした表情をしていた。モミの枝は、ゆっくりと地面に落ちていった。
ジェラルドは、怪我を負ったこと以上に、ショックを受けた表情をしていた。しかしその時、女はまた枝を振り、彼の腰に命中させた。ジェラルドは顔をしかめ、杖をなくして膝をついた。
しかしこの時、その枝がエリーの頭に飛んできて、少女は崩れるようにして倒れた。
「エリー!」力が湧き上がってきて、ミランダは手と膝の葉っぱと茂みをかき回した。
女はジェラルドの頭をめがけて、三度目の殴打を試みたが、ジェラルドはその枝を両手でつかむことができた。二人は格闘になった。
ミランダが地面に倒れたエリーのところへたどり着くまでに、とても長い時間がかかったような気がした。少女は叫び声を上げていた。エリーを腕の中に抱き寄せ、少女を守るために背中を向けて、ジェラルドと女から離れたところに引っ張っていこうとした。
やぶの中ではうなり声と狂ったような動き。女は叫び、まるで振り飛ばされそうになっているような声を出した。
ミランダが見ようとして振り返ると、ジェラルドから数フィート離れたところに毛織物の山が見えた。ジェラルドは、女が使っていた重い枝を手にしていた。立ち上がろうとしたが、膝がねじれて、また倒れた。
女は這い上がって、森の中へ駆け去った。
「待て!」ジェラルドは叫んだ。まだ手にしている枝を支えに寄りかかりながら、ふらふらと起き上がるジェラルドの声に、ミランダは鋭い刃のような挫折を感じ取った。
ミランダは自分のマフラーで、血の滲んだエリーの額を軽く拭き取った。枝のために切り傷ができていたが、深くはないようで、エリーの泣き声は痛みではなく恐怖による苦渋のすすり泣きだった。
ジェラルドは杖を取り戻し、足を引きずりながらミランダとエリーの方へ来た。「あれは誰だったの?」
「分からないわ」ミランダが言った。
「顔は見た?」
「いいえ」
「怪我をしてる?エリーは?」
その時、ローラおばさんが走って近づいてきた。「何が起こったの?何てこと、それは血?」
オーガスタおばさんが他の子供達のすぐ後ろからついてきた。「どうしたの?」
「ミランダが女に襲撃されたんです」ジェラルドが言った。「僕が着いた時には、ミランダのマントの中の貴重品を探しているようでした。僕がそれを止めようとしたときに、その女は誤ってエリーを殴ってしまったんです」
「何てかわいそうに」ローラおばさんは近寄ったが、エリーはミランダの肩に顔をうずめ、泣き声を押し殺していた。
「子供達を家に連れて帰りましょう」ローラが言った。「緑樹は十分集めたわ。一体誰に襲撃されたのかしら?」
「ジプシーかしら?」オーガスタおばさんが尋ねた。「この辺りにジプシーがいるとは聞いたことがないけど」
「分かりません」ミランダは頭を振り始めたが、その動きのために視界が曇ってきた。
「ミランダ、怪我をしているじゃないか」ジェラルドが言った。
「私は大丈夫です。エリーを早くここから離れたところに連れていかないと」
みな家の方に向かっていった。ミランダがエリーをしっかり抱きかかえている間に、ローラおばさんとミランダの叔母たちは子供の数を数え、はぐれた子供達を探しに行った。
ジェラルドはさらにゆっくりと、さらに杖に寄りかかりながら歩いた。ミランダは彼を見て、胸の中が混乱しているのを感じた。彼に対する感情を何とか消し去ろうとする計画は、突然それほど簡単ではないように思えてきた。
女がジェラルドを襲撃し、彼が倒れるのを見たとき、彼を失うのは耐えられないことが心の奥底で分かったから。
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第5章
ミランダにとって、屋敷の飾り付けのためにクリスマス用の緑樹を集めるのはいい気晴らしだった。みんなウキウキした気分だったし、自分のことを気に留める人は誰もいない。落ち着くことができた。
ジェラルドの母への頼みごとのために、彼が労力を費やすはずはないと思っていたので、この道は閉ざされるだろうと予想していた。だが、ローラおばさんに助けを求めるという彼の行為に驚かされたばかりか、胸の中に希望の花が咲いた。
希望を持つべきではない。いつも失望に終わったではないか。
でも、自分をサポートしてくれる人が二人もいるのに、希望を持たないでいられようか?両親には他人に頼らないことを教えられたので、このような心遣いを受けることに慣れていなかった。
オーガスタおばさんに頼むのは特に難しく、セシールの好意に対する感謝の気持ちがないことを咎められられただけに終わってしまった。そのように批判された後、ミランダは同じ頼みごとをローラに持ちかけるどころではなかった。しかし、ローラがこれほどまでに心配してくれて、ジェラルドも粘り強く助けになろうとしてくれることに驚かされた。
うまくジェラルドの母を説得してくれるのだろうか?それでも希望を抱くのが怖かった。
深呼吸をして、森の静けさの中で落ち着こうとした。木々からは、長い年月と忍耐、そして嵐や熱心な木こりにも負けない粘り強さが感じられた。今でも木々が互いにささやき合って、緑樹を集める女と子供たちの興奮気味なしゃべり声を聞きながらカサカサと噂話をしているのを想像した。
わずか一、二時間前と比べ、人生がこれほどまでに変わるとは。エリーと、そしてフォーモント一家と過ごした後、ローラおばさんのところへ行く——全てが素晴らしすぎて、夢のように溶けてなくなってしまうのではないだろうか。ベイティ家からも逃れられる。フェリシティのイライラにも、謙虚で感謝の心を持った扶養家族としての身の程をミランダに思い知らせようとする決意にも耐える必要がなくなる。
十二夜が終わったら、状況は本当に変わるのだろうか?長い間、幽霊のようにゆっくりともやの中に消えていくように感じていたので、想像するのが難しかった。自分は幸せになれるのだろうか。最後に幸せだと思ったのはいつだったのかさえ、思い出せなかった。
「(ミ)ランダ」思考の中にエリーが割り込んできた。自分で切ったモミの枝を持って、ミランダを追ってきたのだった。
「はい、なあに?」
「ポールが一番大きい枝を取るって言うの」
「まあ、そう?一緒にやっつけようか」
エリーはにっこりした。その口の形、目のシワは、ミランダのいとこのエドムンドにそっくりだった。しかし青い目と、トウモロコシの毛のようにキメが細かいきつね色の髪は母のものだった。
ミランダがベルモアの親類とクリスマスを過ごすときの恒例だった——女と子供たちは、ヤドリギ、ツタ、モミの枝を拾い、男と農場労働者は大きなユールログを集めに行く。これを十二夜が終わるまで、大玄関にある大きな古い暖炉で燃やすのだ。
ジェラルドはミランダのところまで来たが、エリーに話しかけた。たくさん抱えたモミの枝が腕から垂れ下がっていた。「エリー、気をつけないと緑のドレスにつまづくよ」
エリーは垂れ下がるモミの枝を見、クスクス笑ってぐるぐる回った。枝は飛んでいき、やぶの方まで飛んでいく枝もあった。
「せっかく集めたのに全部なくしちゃうわよ」ミランダは笑って言った。
「僕が拾ってきてあげるよ。おいで、エリー」ジェラルドは道を外れ、不ぞろいの茂みを目掛けて杖を大げさに振り回し、なくしたモミを探しているうちに道に迷ったふりをした。
最後にミランダがジェラルドと一緒に緑樹を集めたのは十六年前、彼が航海に出る前のクリスマスだった。膝がよくなって他の男たちについていくことができれば、そして痛みを感じずに馬に乗ることができれば、ジェラルドは彼らと共にユールログを運んでいただろう。エリーや他の子供達とふざけていたが、折に触れて森にいる男性の声が遠くで聞こえると、彼は目を上げ、とげとげしさが仮面のように顔を覆うのであった。
それとも、その明るさの方が仮面なのか。
フォーモント邸に行くことになったら、長い年月の後で初めてジェラルドの近くにいることになる。ミランダはこれを少し、いや、とても恐れた。そう、ジェラルドに対する感情を、本人だけではなく、もっと悪いのは彼の両親から隠すことができなくなるという恐れだった。
隠すことには慣れていた。両親から、そしてほとんどの家族から、一生ずっと本当の自分を隠し通さなくてはならないように思えていた。自分は社会の他の人たちと同じようになることが絶対にできないと、絶えず周りから気づかされるように感じていた。
ミランダの父は、彼女が可愛くなかったから、そして、おとなしすぎて何の面白みもない娘だったから失望していた。母は、婚期に相手をつかまえる望みがなかったから怒っていた。フェリシティは、無給の召使いとして手元に置くより、熱心に彼女を追い出そうとするまで嫌っていた。
そればかりか、誰も知らない秘密が一つあった。決して消すことができない罪が。。。
誰にも心を開きたいとは思わなかった。ハンサムで自信にあふれたジェラルドにはなおさらそうだ。これまで多くの人がそうだったように、ジェラルドはミランダの欠けているところに気づくだろう。そして、一度愛してしまったら、彼を失望させること、拒否されることは、生きたまま皮膚を剥がれるほどつらいことだ。
だから、彼に対する感情を何とか押しつぶさなくてはならなかった。心の中から完全に消し去らなくては。
全ての木から葉が落ちてしまったわけではないが、冬の変わりやすい日差しのせいで薄暗く、更に寒く感じた。ジェラルドとエリーはミランダから離れていき、ミランダは彼と距離を置くことに決めた。エリーは、見知らぬ人であるジェラルドに慣れる必要があった。
ミランダは重い足取りでやぶの中を歩いた。他の女や子供たちと距離を置いて、静かで暗い森の奥深くへ。木の幹や低く垂れ下がる枝のせいか、彼らの声すらも弱くなっていった。
後ろの方で葉がカサカサと鳴り、棒がパキッと鳴る音がした。そして何か重いものが、ミランダの首の付け根にぶつかった。
頭全体に激しい痛みを感じた。地面に倒れたのは覚えていないが、頬の下の枯葉、そしてカビと泥の強烈なにおいに気づいた。手足が地面に鎖で縛られているように感じた。
何かがかすかな光を遮り、黒ずんだマントの端が濡れた葉の中で引きずられているのが見えた。何かを探しているように、手がミランダの体の上を走った。寝返りを打とうとしたが、襲撃者はミランダの背中に強く寄りかかっていた。
そして、ブーツの重い足取りと杖の軽い感触を地面から感じた。大変だ。ジェラルドに警告しなくては。エリーは彼と一緒にいる。
足音が止まった。「ミランダ!」ジェラルドが叫んだ。
ミランダに触る手が凍りついた。
ジェラルドがミランダの方へ急ぐと同時に、襲撃者が離れていった。ミランダは寝返りを打った。
一瞬ぼんやりとし、スカートがなびき、そして重い枝がジェラルドの頭に向かって空中で振り抜かれた。ジェラルドは身をかがめたが、その動きのために、杖の方によろめいた。
「ジェラルド!」ミランダはハッと息を呑んだ。襲撃者は背を向けていたので、黒っぽいマントしか見えなかった。
そして、ジェラルドからほんの数フィート離れたところにエリーが立っているのが見えた。少女は凍りつき、愕然とした表情をしていた。モミの枝は、ゆっくりと地面に落ちていった。
ジェラルドは、怪我を負ったこと以上に、ショックを受けた表情をしていた。しかしその時、女はまた枝を振り、彼の腰に命中させた。ジェラルドは顔をしかめ、杖をなくして膝をついた。
しかしこの時、その枝がエリーの頭に飛んできて、少女は崩れるようにして倒れた。
「エリー!」力が湧き上がってきて、ミランダは手と膝の葉っぱと茂みをかき回した。
女はジェラルドの頭をめがけて、三度目の殴打を試みたが、ジェラルドはその枝を両手でつかむことができた。二人は格闘になった。
ミランダが地面に倒れたエリーのところへたどり着くまでに、とても長い時間がかかったような気がした。少女は叫び声を上げていた。エリーを腕の中に抱き寄せ、少女を守るために背中を向けて、ジェラルドと女から離れたところに引っ張っていこうとした。
やぶの中ではうなり声と狂ったような動き。女は叫び、まるで振り飛ばされそうになっているような声を出した。
ミランダが見ようとして振り返ると、ジェラルドから数フィート離れたところに毛織物の山が見えた。ジェラルドは、女が使っていた重い枝を手にしていた。立ち上がろうとしたが、膝がねじれて、また倒れた。
女は這い上がって、森の中へ駆け去った。
「待て!」ジェラルドは叫んだ。まだ手にしている枝を支えに寄りかかりながら、ふらふらと起き上がるジェラルドの声に、ミランダは鋭い刃のような挫折を感じ取った。
ミランダは自分のマフラーで、血の滲んだエリーの額を軽く拭き取った。枝のために切り傷ができていたが、深くはないようで、エリーの泣き声は痛みではなく恐怖による苦渋のすすり泣きだった。
ジェラルドは杖を取り戻し、足を引きずりながらミランダとエリーの方へ来た。「あれは誰だったの?」
「分からないわ」ミランダが言った。
「顔は見た?」
「いいえ」
「怪我をしてる?エリーは?」
その時、ローラおばさんが走って近づいてきた。「何が起こったの?何てこと、それは血?」
オーガスタおばさんが他の子供達のすぐ後ろからついてきた。「どうしたの?」
「ミランダが女に襲撃されたんです」ジェラルドが言った。「僕が着いた時には、ミランダのマントの中の貴重品を探しているようでした。僕がそれを止めようとしたときに、その女は誤ってエリーを殴ってしまったんです」
「何てかわいそうに」ローラおばさんは近寄ったが、エリーはミランダの肩に顔をうずめ、泣き声を押し殺していた。
「子供達を家に連れて帰りましょう」ローラが言った。「緑樹は十分集めたわ。一体誰に襲撃されたのかしら?」
「ジプシーかしら?」オーガスタおばさんが尋ねた。「この辺りにジプシーがいるとは聞いたことがないけど」
「分かりません」ミランダは頭を振り始めたが、その動きのために視界が曇ってきた。
「ミランダ、怪我をしているじゃないか」ジェラルドが言った。
「私は大丈夫です。エリーを早くここから離れたところに連れていかないと」
みな家の方に向かっていった。ミランダがエリーをしっかり抱きかかえている間に、ローラおばさんとミランダの叔母たちは子供の数を数え、はぐれた子供達を探しに行った。
ジェラルドはさらにゆっくりと、さらに杖に寄りかかりながら歩いた。ミランダは彼を見て、胸の中が混乱しているのを感じた。彼に対する感情を何とか消し去ろうとする計画は、突然それほど簡単ではないように思えてきた。
女がジェラルドを襲撃し、彼が倒れるのを見たとき、彼を失うのは耐えられないことが心の奥底で分かったから。
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